2000年10月20日(Fri)近藤名奈 at 赤坂グラフィティ


LIVEれぽ!近藤名奈&中野督夫「抱きしめたい赤坂〜二人の夜 追加公演」

「元気な名奈チャン セカンドステージ」
7月に開催された、久々のライブから早くも3カ月が経過した。
あの時感じた「名奈チャンが歌ってくれていて、よかった・・・」という感動は今も色あせてはいない。 今回は、2daysというスタイルで、もはや馴染みの感がある「赤坂グラフィティ」にて実施された。

筆者は2日目の公演を鑑賞させて頂いた。
外はそぼ降る秋雨、週末の赤坂は妖艶な街である。
彼女のキャラクターとこの街が合致するかは判断が分かれるところであろうか?

オープニングは例によって中野氏のソロ。
演目もお馴染みの「マスカット・モーニング」ギャラリーも心得ていて、合いの手を入れたりして盛り上がる。今日も彼のギターと名古屋訛りのトークは絶好調だ。
間もなく主役の登場、ピンクのボーダー柄セーター。ラフないでたちである。
オリジナルを2曲続けて歌う、リラックスしている感じだ。MCを挟み「kissだけじゃうまくいかない」今日はファンハウス時代の曲が多い、おのずと盛り上がる。

今回のMCでは、随分私的な事を話題にしてくれた。
今更乍らパソコンを用いてインターネットにトライしている事。初期の立役者である田辺智沙サンとメールの交換をした事。実は活動を休止していた時期に匿名でアルバイトをしていた話。などなど、普通ならひた隠しにする様なネタでも実に楽しそうに語ってくれた。

まるで、何かを吹っ切る様に・・・。

カヴァー曲は洋楽を控えめにした感がある。
前回のライブで少なからず退屈したので、これは得策だと思った。 かわりにバースデーイヤーである1973年の日本の名曲を数曲歌ってくれた。特に井上陽水氏の曲は意外な一面を魅せてくれた気がする。


今回の為に、彼女は新曲を2曲用意してきた。

「空が低い街」
地元で過ごした日々の出来事をモチーフにしたとの事。非常にキャッチーな曲だ。かつての曲に多くみられた季節感も伝わってくる。個人的には「クレッシェンド」に似たタイプの曲と理解した。非常に耳通りがよく好感が持てた。

「WOMEN」
イントロにパイプオルガンの音色と歪むEgを配したこの曲は、ベタな位のブルースである。ソウルフルに歌い上げる彼女、思わずSHO−TA(田村直美)がオーバーラップして来たのは、私だけでは無いと思う。

趣向の違う2つの曲、どちらにも一時感じた妙なアーティスト指向が感じられず、素直にまとめた感じがする。 ここにも過去からの吹っ切れが見てとれた。この曲は、かつてのマネージャーである岡本氏とかの有名な王様がたずさわって出来た曲である。
更にオリジナル曲を披露し、本編のラストナンバーは「愛の名前」これからずっと大切に歌って行きたい曲だと彼女は語った。

アンコールでは、封印された感のある初期の作品が披露された。

「願い」1stアルバムからのセレクトである。
オリジナルはアップテンポな元気の良い曲であるが、今回はギターをバックにややスローなテンポでの歌唱である。会場から微かではあるが、歌声があふれてくる。彼女もそれを煽る。
最後はお約束の「雨はいつか」歌声はさらに大きく熱く・・・。筆者も辺りを気にせず声をあわせる。深々と一礼をして、ステージ降壇。しかし、拍手は鳴り止む事は無かった。

既に会場の照明は焚かれている。
多少危なっかしいコールではあるが、会場の皆が諦めなかった。ダブルアンコールである。
既に着替えをすませた彼女は涼しげな格好だ。彼女曰く「中野サンはすでにビールを飲んでくつろいでいる」との事。
そこでチョイスしたこの日最後の曲は

「こんな日は早起きしてあなたに会いたい」

なんとデビュー曲である。しかもアカペラで歌うというのである。
会場からすべての音が消え、ギャラリーが固唾を飲んで見守る。
軽く肩でタイミングをはかり歌い始める。場の空気は燐として誰も身動き出来ない。
わずか1コーラスではあるが、とても長く思えた。
最高の笑顔を見せ、一礼しステージを後に
会場からは精一杯の拍手。素晴らしいステージであった。

今回のライブを総括して思うのは、
バイトネタしかり、新曲しかり、「願い」「こんな日は〜」しかり、何となくタブーになっていた過去を振り返り、良いものは良い!という思いのもとに歩き出した彼女を垣間見た気がしてならない。
筆者が何度となく彼女に向けて使う「元気な名奈チャン」というキーワード。
中には快く思わないファンの方もおられると思う。
私は「元気な名奈チャン」が彼女の原点だと信じているし、今回のライブでは彼女自身もそれを重んじ、26歳の感覚で巧みにアレンジして来たと考える。

真のガールポップシンガー、近藤名奈のセカンドステージ。今、彼女から目を離せない。

2000.10.24 文責 tempest@